<第10回ハロプロ楽曲大賞2011結果発表イベント>

毎年恒例の<ハロプロ楽曲大賞結果発表イベント>に行ってきました。
http://www.esrp2.jp/hpma/2011/


思えば前回2010年はイベント当日にスマイレージレコード大賞最優秀新人賞を受賞して、イベントのオープニングとして数時間前に放送されたばかりの授賞式の模様をみんなで観賞し、祝杯を挙げたのだった。それからちょうど1年が経ち、2011年のレコ大では最優秀新人賞にスマと同じくガールズアイドルグループのフェアリーズが選ばれた。結局スマもフェアリーズちゃんみたいに何かの力にゴリ押しされて選ばれただけだったのかな、とスマ受賞の箔もこれによって若干落ちた感は否めない(フェアリーズヲタの人ゴメン!)。
2010年は焼肉事件があったとはいえあれだけ華やかな舞台で祝福を受けていたスマイレージだが、周知のように2011年はあの時のメンバー4人のうち2人が辞めてしまうという激動の年だった。あの時この混迷を予想しえた者がいるだろうか。こうした事態には、あらためてアイドルという現象のダイナミズムを実感せざるを得ない。アイドルをリアルタイムで追いかけるということはスポーツとかと同様に「筋書きのないドラマ」を楽しむことであり、この魅力はもっと多くの人に知られるべきだと思う。


[アイドル楽曲部門]結果発表を見てる時の心のざわつきは異常。昨今はハロプロ以外にも素敵なアイドルちゃんがたくさん出てきていて、楽曲のクオリティも全体的に高水準になってきているので、「うわ、このアイドル(の楽曲)、我が軍より良くね?」という動揺を抑えるのが大変だった。
素敵なアイドルが多く登場し、音楽的にも楽しみが増えるのは素直にいいことであるはずなのに、何故か動揺してしまっている自分は、ハロヲタという党派的な心情丸出しで、我ながら浅ましいな、という感じ。でも実際iTunesの再生履歴とか見ると自分も最近はハロプロ以外のアイドルの方がよく聴いてるんですよねえ……。
そういう流れの中なので、[アイドル楽曲部門]の結果発表が終わり、本編であるところの[ハロプロ楽曲部門]の結果発表が始まった時の安堵感は異常(そのときのピロスエ氏の発言「もうこのあとはハロプロの曲しかかかりません!」)。


しかし今回はやたらお客さんのノリが良かった。自分はこのイベントに参加するのはこの間の<シングル大全集>も含めると4回目なのだけど、いままでこんなにお客さんのノリが良かったことは無かったので驚いた。実際の現場かDJパーティの会場か、というくらいコールや歓声や振りコピやオタ芸が乱れ飛んでいて非常ににぎやかで楽しかった。まあ自分は終始「地蔵」よろしくジッとしていましたけど。


今回はゲストも登場。一人目は、[アイドル楽曲部門]でも第23位に「twinkle love」がランクインした*Twilight*のイノウエミナミさん。*Twilight*は「アイドルヲタクによる、アイドルヲタクの為の自称アイドル集団」として「完全セルフプロデュース」で活動しているグループ。このようなDIYアイドルとでも呼ぶべき存在の登場についてピロスエ氏は、80年代がパンク/ニューウェイブの時代で、90年代がベッドルームテクノの時代であったならば、現在はライブアイドルの時代だ、と興味深いことを言っていた。メモを取ってなかったので記憶が曖昧だけど、この「ライブアイドルの時代」というのは、ソーシャルメディアの浸透や地下アイドル現場の定着、またそのようなアイドルを受容する層の拡大、といった今日の状況を背景に、誰もがアイドルになれる時代になった、とかそういう意味で氏は言っていたのかな、と(間違ってたらご指摘ください)。
もう一人のゲストは、『タモリ倶楽部』の「もしアイドルヲタクがタワーレコードの社長だったら」で一躍有名になったタワーレコード社長の嶺脇育夫さん。件の企画は嶺脇社長が出た豪STREAMを見たタモクラのスタッフが面白そうだと思ったのがきっかけだった、など貴重な話を聞けた。


ハロプロプレイバック映像の楽しさは異常。2011年はハロプロを追いかけるのが疎かになっていた感は否めないので、映像で一年間のハロプロを総ざらい出来るのは嬉しい。ベリが出演した「めちゃイケ」での桃子の活躍ぶりとか、自分はハロプロのお笑いバラエティ的なノリへの迎合に懐疑的、というか観てて辛いので当該放送はチェックしてなかったんだけど、いざ観たら観たで楽しめちゃうんだよね。あと9期のまとめ映像みたいなやつもよかった。さいきん生田のことがどんどん好きになってる。ただ、狼を見ないピュアヲタ← としては例の「ホームレス発言」のワッチ音源を聴かされるとちょっと凹むよね。まあいいけど。


今回の順位は例年以上に読めなかったというか、実際上位の顔触れは個人的にはかなり意外なものとなってる。この順位を見て考えさせられたのは、「ハロプロつんく♂らしさ」をどう評価するかということ。投票理由とか評価のポイントとして「ハロプロらしくて良い」というのはよく目にするし自分も使うけど、逆に「ハロプロらしくなくて良い/新鮮」という評価軸も同様にあって、この二つの立場は相反するものなんだけど、一人のハロヲタの中で往々にして共在するものでもあると思う。
楽曲大賞に投票している人は当然現役のハロヲタが多く、そうでなくてもかつてハロプロに親しんだことのある人が大半だと思うけど、仮にハロプロをよく知らないアイドルファンや音楽好きの人が選んだらどういうランキングになるのか興味があるところ。今回自分が投票した曲は、多分あまりハロプロっぽくない曲のラインナップになってると思う。ハロプロつんく♂的なテイストというのは、ハロヲタにとって輝かしく思えるときと、辟易してしまうときの両方があると思う。基本的に隙だらけなんだけど締めるところはしっかり締める、というのがハロプロつんく♂テイストの肝。


それにしても、楽曲大賞のイベントに参加すると、信者としての信心が強まるね。いや、これは冗談ではなく。ハロプロ楽曲を映像で50曲たっぷり観て思うのは、ハロプロって音楽を大事にしてる、ということ。アイドル史において<楽曲大賞>のような「場」や、<楽曲派>という受容形態が大きく可能になったのはハロプロが最初だろう。もちろん他の多くの現行アイドルたちもいい音楽を残しているとは思うけど、ハロプロはやっぱり年季と気合の入り方、リソースの量が違うよ。これは個々の楽曲が優れているかどうかということとは少し別の問題だ。正直言うと、2011年はついにハロプロ以外のアイドルが、総体として、楽曲の質的にもハロプロを凌駕した年だったと思う。でも、ハロプロという運動体の根底に流れている、恥ずかしい言葉を使えば、「音楽愛」みたいなものを感じられる限り、自分はハロプロを支持できる。